中国人向けスマホ決済!Alipay(アリペイ)の店舗への導入方法は?

Alipay(支付宝)のロゴ

日本で話題のキャッシュレス決済ですが、隣の中国ではスマートフォンとアプリを使えば、現金にふれる必要がないほど日常生活の一部となっています。そのようなキャッシュレス先進国である中国の決済サービスの中で大手の1つがAlipay(アリペイ)です。この記事では、Alipayの基本情報や中国での利用状況と日本での店舗への導入方法について解説します。

スマホ決済とは何か?

スマートフォンのアプリを使って料金の支払を済ませる決済方法を「スマホ決済」と呼んでいます。
スマホ決済の最大の特徴は「現金を使わない」ことです。
現金を持ち歩けば盗難や紛失のリスクがあります。
比較的治安の良い日本にいれば現金を持ち歩くことにあまり抵抗はないのですが、海外では事情が異なります。
必要最低限の小銭や小額紙幣を除けば、現金を持ち歩くことは一般的ではありません。
そのため、かつては小切手などが多用されていました。
日本では日常生活で小切手を使うことはありませんが、2010年代前半まではトラベラーズチェックという旅行者用の小切手を使うこともあったのです。

このような現金を持ち歩かないで決済する新しい方法の1つとして登場してきたのがスマホ決済なのです。
スマートフォンとインターネットの普及に伴い、個人レベルの決済情報を瞬時にやり取りすることが可能になりました。
日本では現金決済が主流ですが、今後は急速にキャッシュレス化が進むと考えられています。
これまでキャッシュレス決済といえば、クレジットカードやデビットカードがありました。
ただし、これらの物理的なカードはセキュリティー上の問題も多く、スキミングなどの被害に遭いやすい欠点があります。
スキミングとはカードの磁気記憶部分に記録されている個人情報を違法に抜き取ることで、その情報を使って別の偽カードを作成し、商品を詐取するなどの犯罪に用いられるのです。
カード会社の被害額は年間で100億円を超えています。

スマートフォンを使う方法では、スキミングはできません。
盗難にあったとしても、パスワードを解除することはクレジットカードなどと比べて困難だといわれています。
さらに、クレジットカード決済には、店舗ごとに専用のデバイスを設置する必要があります。
カード用の決済端末機(CAT端末)やPOSレジと呼ばれる通信機付きのレジスターを導入するための初期投資が不可欠なのです。
この点でも、スマホ決済はほとんど初期投資せずに運用を開始することができます。
つまり、エンドユーザーと販売店舗の双方にとって、安全で初期投資を抑えた運用ができる理想的な決済方法がスマホ決済なのです。

中国のキャッシュレス化とAlipay(アリペイ)の利用状況

中国では急激な勢いでキャッシュレス化が進行しています。
中国政府の後押しもあって、日常生活で発生するほとんどの決済で現金が不要になっているのです。
スマートフォンの普及が前提になっているのは事実ですが、普及が進んだ最大の理由は偽札問題といわれています。
在中国日本国大使館のウェブサイトには「中国での偽札に関するQ&A」のページがあります。
そこにはスマホ決済が一般化しているにもかかわらず、依然として偽札が広く流通していることが記されているのです。
とくに50元や100元といった高額紙幣はタクシーなどではなく、信用のできる店でしか使うべきではないとされています。

このような社会的背景から、スマホ決済が日常的な決済方法として普及したのです。
たとえば、中国のある飲食店では店員は席まで案内してくれますが、料理の注文は取りにきません。
席に貼られたQRコードを使って、自分のスマートフォンでレストランのウェブサイトにアクセスし、オンラインで注文して同時に決済も済ませるのです。
ほとんどウェブ上の通信販売を利用する場合と同じ手順なのですが、このことで決済に関わる労力やリスクがほぼ無くなるのです。
現金をやり取りすれば、釣り銭の管理に人手が必要となり、また強盗対策にコストが掛かります。
もちろん、スマートフォンの操作に抵抗があるお年寄りや、外国人旅行者などは現金でも決済できます。
ただし、その利用者比率は数パーセントとの報告もあるくらい、現金決済は少数派なのです。

そのような中国国内でのスマホ決済は、主に2つのサービス運用会社によって提供されています。
「Alipay(アリペイ)」と「WeChat pay(ウィーチャットペイ)」です。
Alipayは、中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)が提供するスマホ決済システムになっています。
アリババ・グループは、ECをコアビジネスとして展開する中国流通業界の大手企業です。
テクノロジーの活用を全面に押し出して、マーケティング、物流、決済までのすべてのチャネルにサービスネットワークを広げています。
そのネットワークはグローバルに広がっており、小売業界では世界最大規模を誇っているのです。

このようなアリババ・グループが提供する決済システムがAlipayです。
Alipayのユーザー数は2019年1月現在で10億人を超えています。
また、2018年11月現在のAlipayのアクティブユーザー数は6億5000万人以上という調査結果もあります。
つまり、中国だけでなく、世界最大級のスマホ決済サービスプロバイダーがAlipayなのです。

もう一方の運用会社であるWeChat payは、中国の騰訊(テンセント)が提供しています。
中国で利用者が多いSNSの1つにWeChatがあり、WeChat payはその派生サービスとしての位置づけです。
日本でも利用者の多いSNSにLINEがありますが、それと同等のサービスと考えるとわかりやすいでしょう。
中国国内での店舗決済や個人間の送金がコアサービスです。
Alipayとともに中国国内では日常的な決済方法として人気を二分しています。

日本におけるAlipay(アリペイ)の可能性

2019年5月時点で日本でのAlipay加盟店舗数は30万店を超えています。
今後はスマホ決済サービスを運用する同業他社との業務提携が進むと考えられるため、加盟店舗は急速に拡大するでしょう。
たとえば、KDDIが提供するauブランドのスマホ決済サービスに「au PAY」があります。
Alipayはこのau PAYと提携して2019年からは日本国内のau PAY加盟店で使えるのです。
中国人観光客の動向については、Alipay公式サイトに掲載されている、中国人観光客へのインタビュー結果に注目すべきでしょう。

市場調査会社ニールセンによれば、海外滞在中にAlipay加盟店があれば、そこで買い物を希望する割合が9割を超えています。
これは、Alipayが使える店舗には中国人観光客を呼び込む効果があることを示しているのです。
さらにいえば、2018年の訪日外国人旅行者総数は3100万人を超えており、その27%が中国人観光客でした。
人数に換算するとのべ830万人以上の中国人が日本を訪問したことになります。
そして、その多くが「爆買」と呼ばれる大量のお土産を買い込むことで、地域経済の活性化に貢献しているのです。

より具体的な数字を挙げると、2017年の訪日中国人の旅行消費額は訪日外国人全体でみると、約38%を占めていて、約1.7兆円となっています。
また、個人レベルでは同年の訪日中国人一人あたりの平均旅行消費額は約23万円なのです。
このような購買意欲の旺盛な中国人インバウンド需要を自らの店舗に誘導して消費を促すためには、早急にAlipayのスマホ決済が可能な環境を構築する必要があります。

日本の店舗へのAlipay(アリペイ)導入について

Alipayは中国国内向けの決済サービスが基本なので、日本にある店舗が直接導入するのは現実的ではありません。
Alipayの利用を開始するためには、中国国内で契約した携帯電話番号と中国の銀行口座が必要になるからです。
仮にこの条件をクリアできたとしても、中国の銀行から日本の銀行に送金する際には手数料が発生してしまいます。
そこで、Alipayなどの中国の決済システムを日本の店舗に導入する際には、代理店を通すことになります。
代理店にはいくつかのスタイルがあるので、販売する店舗や業態に合わせたものを選ぶとよいでしょう。
以下に代表的な店舗への導入方法の事例として、au PAYを利用する方法を紹介します。

日本の通信大手であるKDDI株式会社が提供するauブランドのスマホ決済サービスに「au PAY」があります。
Alipayはこのau PAYと提携して2019年からは日本国内のau PAY加盟店で使えるようになっているのです。
au PAYの加盟店申請の際に、Alipayも同時に申し込むことができます。
審査はそれぞれ独自のものとなりますが、手間が省けるので便利です。
なお、2020年3月末までは、Alipayの決済手数料が無料になるキャンペーンが開催中です。

au PAYへの加盟店申請は3つのステップを通過すれば承認されます。
まず、第1ステップは登録です。
公式ウェブサイトにある申し込みフォームに必要事項を記入して送信して仮登録します。
仮登録の際の記入項目は、法人名(個人事業主名)、申請者氏名、メールアドレスで、加盟店規約に同意して送信するだけです。
仮登録が済むと案内メールが送られてくるので、本登録に進みます。
この際、審査に必要な書類を提出する必要があります。
具体的には、導入を希望する店舗のウェブサイトのURL、振込先金融機関の口座情報、及び身分を証明する書類などです。
法人として申請する場合は法人番号も必要になります。

身分証明には運転免許証、運転経歴証明書、パスポートなどが有効です。
また、特別永住者証明書、精神障がい者保険福祉手帳なども使えます。
ただし、国際免許証は有効な証明書類から除外されているので注意しましょう。
店舗のウェブサイトが準備できていないときには、代わりに写真を提出します。
店舗の内観と外観をそれぞれ1枚用意しましょう。
このとき、取り扱う商品やサービスがわかるような写真を選ぶのがポイントです。
第2ステップは審査です。
申請者としてはやることはなく、結果通知のメールを待ちましょう。
審査に通過した場合は、加盟店管理システムIDが付与されることになります。

最後のステップは、店舗用アプリの設定です。
配布される「au PAY導入ツール」を使って加盟店用のアプリを設定します。
設定が終われば、すぐにスマホ決済を受けることができるのです。
具体的な決済手順は、利用する端末の種類によって異なります。
Alipayも同様ですが、au PAYでも、一般的なスマホ決済サービスで使われる「端末型」「タブレット型」「ステッカー型」の3つのタイプが選べます。
それぞれメリット・デメリットがあるため、取り扱う商品やサービス、業態に合ったものを選ぶとよいでしょう。
「端末型」とは、KDDI側から提供される専用端末を使う方法です。
ユーザーがスマートフォンの画面で提示してくるQRコードを、店舗側の専用端末で読み取って決済を行います。

メリットは専用端末なので使い勝手がよく、レシートの印刷機能もついているため、その場で決済が完了する点です。
ハードウェアやソフトウェアのトラブルがあっても、サポートに連絡すればよいのでデジタルデバイスが苦手な販売員には抵抗が少ないでしょう。
デメリットは、レンタル料金が発生する点です。
月額1500円(税込)のレンタル料が発生し、SIMあり端末ならさらに月額500円(税込)が課金されます。
「タブレット型」は、自己または法人所有のデバイスにアプリをダウンロードして運用するスタイルです。
デバイスにはスマートフォンではなく、画面の大きいタブレットを使うことが多いようです。

メリットは、所有するデバイスを活用するため、レンタル料金などのコストが発生せず、アプリをダウンロードすればすぐに運用が始められる点です。
デメリットはトラブルが発生したときに、原因の特定を自分で行う必要がある点です。
ある程度のITスキルを持つスタッフが店舗にいないと、解決まで時間がかかり、商機を逃すことも考えられます。
「ステッカー型」は、店舗専用のQRコードをプリントアウトして店頭に掲示しておく方法です。
決済の際には、掲示されたQRコードをユーザー自身のスマートフォンのアプリで読み取り、必要な金額を入力します。
その画面を店舗側が確認して認証することで決済が行われるのです。

メリットは、店舗側はプリントアウトしたQRコードを用意するだけなので、ほぼ無料でスマホ決済環境を作ることができる点です。
デバイスの電池切れで慌てることもありません。
実際、中国国内では最も一般的な方法であって、仮設店舗で営業する露店などはほとんどこのスタイルです。
デメリットは、ユーザーが入力した金額を店舗側で確認する手間が発生する点です。

まとめ

Alipayは、世界で最も多くのユーザーを持つスマホ決済サービスです。
とくに中国では日常的に利用されているため、中国人観光客は旅行先でのAlipay決済の需要が高いのです。
日本国内の店舗でインバウンド向けの販売戦略を立てるのであれば、決済方法としてAlipayは最初に導入すべきものといえます。
ただし、直接の加盟店になるのは難しいので、業態に合わせた代理店を選んで導入するとよいでしょう。

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